ロスジェネ・バーテンダー 昭和55年式

元ニート、社会不適合者がワインバーを創業するに至った経緯・体験・想いなどを飲食業やバー創業を志すアナタに捧げます。遺書というか自伝というか。。。

day 1【吊るし上げの応接間】/ 【工業地帯の夕日は優しく】

【吊るし上げの応接間】

 


「馬鹿野郎。いい年して、うだつが上がらないセールスマンなんて要らないだよ!」

 


ブラック企業の『ミーティング』が小さな応接間で行われていた。

 


戦後から続く老舗の中小企業は叩き上げの カイチョー が実権を握っている。

 


1980年生まれの オレ は団塊ジュニアやロスジェネと呼ばれる世代に育つ。

 


特に自分は理想の職場に恵まれない不幸な人間だと思った事は無かった。

 


ただ、気が付けば、何となく流されるように職を転々をすることを繰り返していた。

 


 


【工業地帯の夕日は優しく】

 


いつも納品した機械の点検と称して訪問するルート営業先の物流センターは市街地から電車で1時間も離れた場所にある。

 


「あー、会社に帰りたくない。」

 


夕日が工業地帯の灰色の風景に溶け込み、どこか優しいような、オレを含めたこの辺り一帯の労働者に一日の終わりを告げようとしていた。

 


「オレはこのまま良いのだろうか?」

 


日々の仕事は、問題が無いわけではないが、怒られながらもこなせなくはなかった。

 


ただ、決められた事をするだけ。

 


前任者が敷いたレールの上にアサインされ、厳しく成果を求められるわけではなかったが、ハシゴは完全に外されているのには気付いていた。

 


完全にシステムに組み込まれている。

 


「オレ、このまま年をとって、カイシャにいっぱいいるような、見た目も性格も小汚い、使えないオッさんになってしまうのかな?」

 


悩みというのは、どんよりとした塊が頭から離れず、思考の一部を占有しつづけるパソコンの不要なプロセスが無駄にメモリーを使い続けているようなものだ。

 


何もしていないのに、頭が色々と勝手に考えて常に疲れていた。

 


カイシャに着くまではまだ40分は寝れそうだ。

 


終着駅でヨダレを垂らして熟睡から目を覚ます。

 


(続く)